Tech.st株式会社様(以下、Tech.st)は、Codeを用いないWebサイト制作(NoCode)をキーワードに地域の高校生や子育て世代向けに人材育成を行い、若い世代が自らの手で町をIT化、DX化していくことで、地域活性化に繋げる事業を展開されています。そのような中、Tech.st様がなぜ宮城県加美町へ進出したのか、その背景や今後の展望に関して、代表取締役 村松様にお話を伺いました。
インタビュアー
御社の事業について教えてください。
村松様
当社は、地域の若者が商店街や地域との関わりを深めて、活躍できるフィールドを創出し、商店街や地域の活性化を目指しています。
NoCodeをキーワードに地域活性化の担い手となる若い世代を取り込み、地域のIT化、DX化を図るための人材育成を事業としています。人材育成の一環として、地域の高校生やママさんたちに対し、NoCodeスキルの習得を進めています。NoCodeとは、アプリやシステム開発、HP制作における、複雑なプログラミング言語を使用せずに制作できるツールのことです。スキルの習得のみを目指すのではなく、具体的な用途まで仕組み化できるように事業として取り組んでいます。
将来的には、実践のスキルを得た高校生やママさんたちが、実際にお金を稼げるという仕組みに繋げていきたいと考えています。地域のIT化、DX化として、飲食店や商店街の方々が忙しくて手をつけられない部分を、地域の高校生やママさんで担い、内製化させ、地域を活性化させていきたいですね。
インタビュアー
実際に地域の事業者や飲食店、商店街の方々と繋がった事例はあるのでしょうか?
村松様
子育て支援施設のHPを、NoCodeを学んだママさんが、0からデザインを手掛け、制作して納品した事例や、地域の高校生が地域の商店のHP制作に関わったり、ふるさと納税に寄与するようなLPデザインを作ったりした事例もあります。
インタビュアー
様々な地域で事業展開されていますが、今回進出を果たした加美町との出会いと進出した理由はなんでしょうか?
村松様
加美町との出会いは、KAMI Creative Academy(KCA)という公営塾で、地域の高校生を巻き込んで、クリエイティブ人材を育成し、将来的には育った人材が町の仕事を担っていくという構想を聞いたことが始まりです。この構想と、当社のNoCode人材育成事業との親和性が高いと感じ、さらに地域の若者と地域の仕事をクリエイティブやITで繋ぐという点でも、加美町のKCAの取り組みに共感して進出に至りました。
インタビュアー
進出を決めてから、実際に進出するまでに難しさを感じた場面はありましたか?
村松様
やはり関係者が多くなると、スピード感を持って事業を進めていくことが難しくなると思っています。当社の事業において、高校生や学校の先生、自治体、地域の事業者と巻き込んでいく人が多い分、それぞれとの関係構築は非常に難しいですが、重要なポイントです。
進出する際は、加美町に関係者の紹介から関係構築までをフォローしていただけたため、スムーズに事業展開ができました。事業展開する上で、有益な関係構築への具体的な助言や積極的な提案を受けるなど、コミュニケーションも密にとれています。
進出する企業へのサポートは、相手の自治体によって大きく変わります。加美町のように、進出企業への受け入れ体制が整っていることは非常に有難いですね。
インタビュアー
事業の進んでいくスピードが早いのも頷けますね。加美町の良さや進出して良かったことについて教えてください。
村松様
事業に関わる人全員が、同じゴールに向かっていることだと思っています。そして、その繋ぎ役になっているのが加美町です。関係者が多くなると、意思統一やコミュニケーションがとても難しくなり、 スピード感や先行きへのずれが生じてきます。
ただ、加美町の場合は、土台と最終的なゴールがしっかりしているので、新たなアイディアも生まれやすく議論も活発になります。
インタビュアー
繋ぎ役の加美町がキーポイントになっているのですね。
村松様
進出する上で、実証実験に積極的に関わってくれることも加美町の特徴です。実証実験は、事業展開の先行きを見通す上で非常に重要になってきます。
例えば、KCA内でNoCodeの講座を始める際も、高校の授業に取り入れる提案やNoCodeスキルを習得した人材が活躍する将来の展望などを、ともにディスカッションすることができました。加美町で当社が根付くことができるのか、将来を見据えつつも、企業の立場に立って考えていただけることは加美町特有の強みだと思います。
インタビュアー
今後の方針と地方進出を検討している企業さんへメッセージをお願いできますでしょうか。
村松様
KCAへの参加者がリアルな学びとスキルを得て、将来の職や考え方に活かしてもらいつつ、HP制作以外のニーズにも応えられるサービスの提供を考えています。また、KCAで学んだ子たちが教える側に回ることで、スキルを内製化して、自走できる仕組みを作ることを目指しています。
加美町は、事業に関わる人全員の目指す方向性が明確にあるため、事業展開のスピード感に加えて、提案に関しても柔軟に受け入れてくれる町です。
さらにプレイヤーが増えることで、加美町を盛り上げる手段が広がるので、 加美町で新たな取り組みができることを楽しみにしております。