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INTERVIEW

株式会社ジーアングル

開設地
-
本社所在地
東京都

株式会社ジーアングル様は、音楽制作、ボイス収録、CG制作、映像制作、Web制作にAI開発に至るまで様々なデジタルコンテンツを制作されています。近年は卓越した能力を持つスーパークリエイターの採用を目的に札幌・福岡にも制作スタジオを拡大しています。

そんな中、宮城県加美町に進出をされた背景や今後の展望に関して、代表取締役社長 髙橋様、IT戦略部 課長 関様、守屋様にお話を伺いました。

地方進出する目的はクリエイターの採用

インタビュアー

事業内容を教えて下さい。

髙橋様

当社では、パソコンやスマホでの見る・聞くなどデジタルの部分において、あらゆるものの制作をコンセプトにしており、デジタル上で表現される映像・音楽・イラスト・3D・アニメ・漫画などが該当します。これらを制作することに特化した会社です。

インタビュアー

東京本社の他に支店が札幌と福岡にありますが、地方に支店を構えた目的は何でしょうか?

髙橋様

採用を目的としています。まず当社が目指しているのは、ただ単純に依頼されたものを制作するだけではなく、提案型のコンテンツ制作です。日々、日本中から様々なお問い合わせをいただきます。しかし、日本中で仕事をする時に地方で卓越した能力を持つスーパークリエイター達との接点がないので仕事ができないということが何度もありました。

そこで、採用を目的として地方へ進出することで、狙い通りスーパークリエイターを採用することができました。

地方での新規事業モデルの確立を模索、そして加美町との出会い

インタビュアー

地方で採用以外での取り組みを検討する際に、課題などはありましたか?

髙橋様

まず、経営者として中長期的なビジョンの策定が必要でした。

地方で我々にできることは何かと考えた時に、地方企業の課題解決のお手伝いをするためのデジタルコンテンツの提供でした。ただ、地方の企業との接点を作るのは難しい。

また、どの地域が最適かを判断するのに時間が掛かるという点で、我々だけで判断するのはハードルが高かったです。そんな時に、地方創生を掲げているあわえさんからマッチングイベントに関するメールが届きました。ここ数年、コロナもあり企業からの広告メールなどが、多い時には一日100件ほど届いていました。でも、あわえさんのメールだけにピンと来たんですよね。地方創生に携わることができれば、地方での活動の幅が広がると。単純に経営者としての勘が働いたと思っています。それをキッカケにあわえさんが主催するマッチングイベントに参加しようと決めました。

インタビュアー

本イベントに参加されてみていかがでしたか?

髙橋様

マッチングイベントでは、多くの自治体のプレゼンを聴講し、地方の課題は似ているなと感じました。多くは過疎化、高齢化、教育、一次産業の衰退と空き家などでしたね。これらの何かを当社が解決できれば、同じモデルを他の地域でも展開できるだろうと。

例えば空き家をリノベーションして一次産業の漁業権を買い上げ、そこに泊まる人には、周辺の海でアワビを3つまで自分たちで獲れるサービスを展開するなどです。でも、それは当社だからできることではないと思っていました。

そう考えていた中で加美町のプレゼンを聞いて、町長がモノづくりに対して非常に意欲的な方だということが伝わり、まず加美町に行ってみようとなりました。

加美町とジーアングルのビジョンの一致、新たなビジネスの構想

インタビュアー

モノづくりに対して意欲的な町長がおられた加美町に、御社としてどのように関われると思われましたか?

髙橋様

加美町の目的がそもそも、当社の目指すビジョンに合っていたんです。

町として大きな構想があって、やりたいことが具体的に伝わりました。それならば、『我々はここの部分でお手伝いできるかもしれない』と非常に組み立てやすかったんです。

インタビュアー

どのような部分がお手伝いできると思われたんですか?

髙橋様

地方ですぐに売上を上げるビジネスを展開させるのは正直難しいと感じていました。しかし、クリエイター・IT人材を育成・集積する地域を目指す構想を加美町のプレゼンの中で聞き、中長期な関わり方をイメージしやすかったんです。

というのも、当社がクリエイター人材育成を目的に講師として加美町に関わり、いくつかのビジネスモデルを立てつつ実行していく。そうすると、5年後には10個はビジネスモデルができるかもしれないと。

インタビュアー

中長期的な視点で新しいビジネスの可能性を加美町にお感じになったのですね。実際に加美町に行かれていかがでしたか?

髙橋様

最初は町の下見くらいの感覚でお伺いしようかと思っていたのですが、あわえさんに相談したところトントン拍子で視察という話になり、町長にお会いする機会まで頂戴しました。さらに当社が加美町に対して、育成した方をゆくゆく採用できればといった夢や想いを語った時、加美町の皆さんが引いた感じは一切ありませんでした。

インタビュアー

御社の想いや夢を応援した先に叶えたいビジョンがある加美町とは、素敵な巡り合わせだと感じる瞬間ですね。

髙橋様

それは加美町にとって、あわえさんという信頼のある存在から紹介された企業だったからだと思います。当社の思いを受け入れていただけたことから、安心して加美町に進出しようと決めることができました。

地方での人材育成は、将来のクリエイターを増やすことに貢献

インタビュアー

今後加美町でどのような事業展開をお考えですか?または構想などがあれば教えてください。

髙橋様

子供たちが、クリエイティブ業種を目指す段階で、大体は親に止められます。

私も反対されてきた口です。当時、自分がミュージシャンを目指そうとした時も、周囲の大人はテレビに出演してCDを売るしか、食べていく方法はないと思い込んでいました。ですが、実際に仕事として関わっていると、音楽領域だけでも、様々な種類の仕事が存在していることに気がつきます。

おそらく世間では、クリエイターになるためには、限られた方法しかないと言うイメージがまだあるのだと思います。

インタビュアー

そういったイメージを払拭したいとお考えなのですか?

髙橋様

そうです。もし実現できれば違った意味での地方創生になるのではないかと私は考えています。単にクリエイターのための学校を作るのではなく、クリエイターになることへの関心を持つ機会作りの支援をすることが、我々の役割だと思っています。

インタビュアー

クリエイティブ業務を将来の夢としたい子供たちのハードルを下げることに繋がりますよね?

髙橋様

その通りですね。加えて『地域を活性化する子供たちの未来を作る』ことに繋がっていくと思っています。

もちろん、加美町で学んだ子供たちが、ジーアングルに入社する未来もあります。もしくは、一度何かしらの理由で加美町の外に出た子供たちがスキルや手に職をつけてUターンする可能性もあると思います。

インタビュアー

それが循環するようになれば、加美町にとって素晴らしいことですね!そして他の地域でも同じようにできれば、地域活性化としてさらに素晴らしい取り組みになると思います!

インタビュアー

最後に地方進出された先輩として、これから進出を検討している企業にメッセージなどがあればお願いします!

株式会社ジーアングル

最初は自治体の課題に、どう関われば良いかピンと来ないかもしれません。また、ビジネス展開の可否や自社事業の強みとの相性だけで、短期的に自治体との連携を判断される企業は多いかと思います。けれども、東京でも地方でも、住んでいる人からすると『今より良くなりたい、良くしたい』という課題は共通していると思います。その思いを尊重して、辛抱強く多くの自治体の話を聞くことが、当社のような加美町との出会いに繋がることになるのではないかと思います。

我々は、どこの地域にいらっしゃる方でも、同じだけのチャンスがあると思っています。そう実感していただける事業を今後展開していきたいと思っております。

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